
女性マーケティングとは?
woman's Marketing


消費全体の6~8割に関与すると言われる女性の消費パワーは、「働く女性/未婚女性/長寿女性」の増加や「女性のエンパワーメントによる社会への影響力」を背景に、年々高まっています。また、2030年までの国際目標であるSDGsの達成期間まで残り10年を切り、ジェンダー平等の実現に向けた国内外の取り組みが今後さらに強化されていくことで、女性市場はさらなる活況・拡大が見られると予想されます。
今、そしてこれから女性マーケティングを強化することは、マーケットシェア拡大、事業成長、顧客ロイヤリティ向上の実現につながる大きなチャンスです。
しかし女性市場は、航空宇宙/海洋開発/モビリティ/生活文化の拡張(AI、IoT、EdTech)などと並ぶ成長市場として関心を集めながらも、いまだ「女性マーケティング」は曖昧にしか解釈されていません。当ページでは「女性マーケティングとは何なのか?」について解説します。

多くの企業様が女性マーケティングを「女性が女性視点で、または直感的に戦略を検討・立案することでは?」と解釈しがちですが、適切な捉え方は「女性を学術的に捉えた上で多様な視点から女性市場を分析し、その内容を事業戦略に活かすこと」です。2021年頃から世界・国内で認知され始めてきたキーワード「ジェンダード・イノベーション(※)」発想に基づいてマーケティング戦略を立案・実行することが「女性マーケティング」とも言えます。
(※)科学・技術・政策などの領域において男女の性差分析を取り込むことで、新しい視点を見いだしイノベーションを創出することを指す。男性の身体を主体に研究開発が行われてきた医療界・ヘルスケア業界においては特に必要とされている考え方。



女性マーケティングの基本構造は以下図の通りです。女性マーケティングの視点で戦略を練ったりトレンドを見つけ出すのに役立つ考え方です。
まず、女性マーケティングの土台となっているのが、男女間の差を生み出している「社会学・ジェンダー学・フェミニズムの歴史といった女性を取り巻く社会的背景と、生物学的性差」。男女間には様々な違いが存在します。例えば、体形、ホルモンの分泌量の違い、妊娠能力の有無、PMSや月経痛の有無といった生物学的な違いや、長い歴史の中で世界中で続いてきた性別役割分業の概念などがわかりやすい例です。これを理解しているだけでも、女性特有の心理・行動・消費傾向・トレンドの背景はずっと捉えやすくなります。
「女性を取り巻く社会的背景と生物学的性差」を理解していると、その次のステージにある「女性特有の心理・行動」を理解できます。例えば、「女性は"戦う"ことよりも"平等"を求める」「女性がメインで家事・育児・介護を担っている」「月経前になると感情が不安定になり怒りっぽくなる」といった女性特有の心理や行動は、社会通念や生物学的性差の認識があることで理解できます。
続いて、「女性特有の心理・行動」を理解していると、「ライフコース・ライフステージごとのニーズや消費傾向」が見えてきます。例えば、出産後も働き続ける女性は、独身女性や専業主婦、あるいは既婚男性と比べて「時短家電」「時短食品」など時短をテーマにした消費が活発ですが、これは「母親がメインで家事・育児を担うもの」という(未だ強く残る性別役割分業の)意識が根底にあるために、「仕事と家事・育児をきちんと両立させたい」というニーズによるものです。
そして、「ライフコース・ライフステージごとのニーズや消費傾向」を理解していると、そのクラスター内で発生している新たなトレンドが見えてきます。
以上が、女性マーケティングを考える際に前提として押さえておきたい構造です(※1)。このように段階を追って考えると、自社がターゲットとしている女性のニーズ・悩み・トレンドを見つけやすくなります。
なお、ウーマンズでは女性マーケテイングの基本構造を以下の4フェーズで捉え各種ご提供サービスに反映しています。各サービスでは、当社が日々の基礎業務として行っている「個の生活行動データの収集」「女性生活者へのインタビュー」「ソーシャルリスニング」「ヘルスケアトレンドの定点観測」「業界動向の定点観測」「マスメディアの定点観測」「各種オープンデータ確認」など、多様な視点からの考察を組み込んでいます。(※1)女性マーケティングの捉え方は各社様で異なります。以下図は当社ウーマンズの定義となります


ライフコースによる
ターゲット分析
女性マーケティングで最も大事なのが「ライフコースによるターゲット分析」です。一口に女性と言っても、女性の価値観や生活行動は、選択したライフコースによって大きく異なります。例えば以下のライフコースの一例を見るだけでも、各ライフコースの女性たちの興味の対象・悩み・ニーズ・消費行動が異なることは容易に想像できるでしょう。
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ワーキングシングル
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子育てしながら仕事をしているDEWKs
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子のいない夫婦共働きのDIKNs
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専業主婦
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介護と育児の両方を担っているダブルケアラー
ライフコースによって女性の価値観や生活行動・消費行動は異なるので、打つべき施策は変わってきます。女性マーケティング戦略に取り組む際は、ライフコースによるターゲット分析から始めるのがおすすめです。ウーマンズでも、クライアント企業の女性マーケティング支援を行う際は、必ずプロジェクトの初期段階でライフコース視点でターゲット分析を行います。
なおウーマンズでは「20~70代の中間層女性を20分類」「富裕層女性を8分類」しています。マーケティング会社によって、分類する視点や分類数は異なりますが、当社ウーマンズでは、各社が現場で活かしやすいよう限りなくシンプルにまとめています(レポートでご用意しております。詳細はこちらご覧ください)。

これまでとは違う視点での発想・企画・開発につなげるために、女性マーケティングは、リサーチから広報活動までの企業活動のうち全工程に反映することが理想です。ただし各工程で実施すべき女性マーケティングの視点は異なるため、各工程・各部署に適した取り組みを行います。ウーマンズでは以下図のうち全工程での支援実績があります。様々なケースに立ち会っているため、豊富な問題解決の経験がある点も強みの一つです。



【1回目】意外と理解が曖昧 女性マーケティング理論の正確な“解釈”
【2回目】女性マーケティングの基本は“●●による分類作業”
【3回目】世代・ライフコース別の女性の特徴
【4回目】現在のヘルスケア市場概況
【5回目】女性ヘルスケア市場を取り巻く課題
【6回目】女性ヘルスケア業界、注目の市場
【7回目】覚えておきたい、近年のヘルスケア業界キーワード
【8回目】コロナ禍における女性マーケティング
【9回目】ヘルスケア&消費関連の調査結果から読み解く、女性の実態
【10回目】「女性マーケ」戦略時に役立つ、「マーケ」知識
